なぜ人々は一発逆転を期待してしまうのか

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投資で大損!あなたならどうする?

前回公開した記事(コミュ障が人脈を築くためのテクニック5選)第6弾です。

 

今回の記事は、人々はギャンブルでも投資でも、日常生活のあらゆる場面でも、一発逆転、一攫千金、棚から牡丹餅を期待してしまうのか?

という経験的に得られている知見を、行動経済学の観点から、話していこうと思います。

 

この一発逆転の心理というのを理解できれば、ビジネスの場でも無用な意思決定や損失を膨らませてしまうといった悲劇を起こさなくて済むようになります。

ぜひご活用くださいませ。

 

今回の話の基盤となる理論:プロスペクト理論

 

プロスペクト理論を聞いたことがある人は結構いるかと思います。ノーベル経済学賞を受賞したほどの強力な経済理論ですから。

プロスペクト理論を知らないという人のために、軽い説明をして起きます。

この手の理論は、いろんな専門家の方が開設しているので、詳しく知りたい方はそちらをご参照ください。

 

・プロスペクト理論って何?

簡単にこの理論を要約すれば、人々は利益と損失どちらに重きを置いて意思決定を下すのか?ということを解明したものです。

 

どういうことかというと、この理論を説明するために、とある実験が行われました。その内容は被験者に二つの質問をして、その回答を比較します。

質問の内容は

 

  • 質問1:あなたの目の前に、以下の二つの選択肢が提示されたものとする。
  1. 選択肢A:100万円が無条件で手に入る。
  2. 選択肢B:コインを投げ、表が出たら200万円が手に入るが、裏が出たら何も手に入らない。
  • 質問2:あなたは200万円の負債を抱えているものとする。そのとき、同様に以下の二つの選択肢が提示されたものとする。
  1. 選択肢A:無条件で負債が100万円減額され、負債総額が100万円となる。
  2. 選択肢B:コインを投げ、表が出たら支払いが全額免除されるが、裏が出たら負債総額は変わらない。

 

これらの質問に答えた被験者は、以下のような性質を示しました。

質問1の場合、どちらも得られる金額の期待値(統計的に試行回数を増やすと最終的にもらえる金額)は、どちらも100万円であるが、

ほとんどの被験者は、堅実性の高い選択肢Aを選び、確実に100万円を受けとる方を選んだが

 

質問2の場合、こちらも普通に考えれば、最終的な負債額の期待値は100万円であるにも関わらず、

質問1で堅実な選択肢Aを選んだ人のほとんどが、選択肢Bを選択したという驚くべき結果を示しました。

 

・プロスペクト理論が示すものって何か?

上記の実験結果から、人々は、損失を抱えた状態だと確実に損失を減らす選択肢を選ばずに、損失をチャラにするリスクの高い方を選択しがちになるということを示しています。

 

つまり、私たちは、損失が増えることや抱えることに酷く神経質になってしまい、その損失を抱えない選択肢があるならば、そちらに身を委ねよう。という気持ちに揺らぐということを実際に実験で示した。

ということになります。

この研究結果が、多くの経済モデルに影響を与えたという功績から、プロスペクト理論はノーベル経済学賞を受賞しました。

 

・本記事では、そのプロスペクト理論の一歩先を紹介する

しかし、このプロスペクト理論、実は不完全な部分が存在してます。

例えば、以下のような状況に陥ったとき

 

競馬で現在100万円負けている上で、最終レースで50万円手元にあるあなたはどうするか?

  • 選択肢A:一番人気のオッズ1倍の馬券を買い、50万賭けて単勝50万円に賭ける
  • 選択肢B:二番人気のオッズ2倍の馬券を買い、50万賭けて単勝100万円に賭ける
  • 選択肢C:一番不人気のオッズ50倍の馬券を買い、2万賭けて単勝100万円に賭ける

 

このような状況に陥った場合、プロスペクト理論的に考えると、損失を抱えないようにするために、選択肢Bまたは選択肢Cを選ぶのは自明ですが、

果たして、どちらに期待を寄せるのだろうか?という疑問に対して、プロスペクト理論は答えを示してはいません。

では、このような状況の時、我々はどちらにすがるのだろうか?という研究をしたところがあり、それの紹介をしようと思います。

 

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ダニエルカーネマンとトヴェルスキーの実験

この疑問に立ち向かった行動経済学者が二人いて、ダニエルカーネマンとトヴェルスキーでした。二人についてはウィキペディアとかに載ってるので、そちらをご参照ください。

 

この二人は、人間の損失回避の特徴は、損失している状況で、提示される選択肢において、どれだけ如実に現れるのか?

ということを研究しました。

そして、学生たちに以下のような質問を投げかけ、実際にどのような行動を示すのかを調べました。

 

研究内容は

 

  • 問題1:あなたは今50ドル勝っています。この時どちらを選びますか。

(a) 50%の確率で15ドルもらえ、50%の確率で15ドル失う。(70%)

(b) 何ももらえないし何も失わない。(30%)

  • 問題2:あなたは今50ドル負けています。この時どちらを選びますか。

(a) 50%の確率で15ドルもらえ、50%の確率で15ドル失う。(40%)

(b) 何ももらえないし、何も失わない。(60%)

  • 問題3:あなたは今50ドル負けています。この時どちらを選びますか。

(a) 40%の確率で50ドルもらえ、60%の確率で何ももらえない。(60%)

(b) 確実に20ドルもらえる。(40%)

 

といったものです。括弧の数字は、実際に被験者が選択肢た割合です。

 

この実験が示すところは、プロスペクト理論の場合だと、人々は損失を抱えている状況下だと、リスクに走ることを示しているが、

以上の実験では、問題2だと、損失を抱えているにも関わらず、選択肢(a)を選ぶよりも、選択肢(b) を選択するものが多かった。

 

これだと、プロスペクト理論の示すものと食い違っている。

しかし、あることが条件に加わると、プロスペクト理論通りの行動を示す。それが、問題3である。

 

つまり、我々は、損失を取り戻せる可能性を感じた場合、リスク選好的な行動を示し

取り戻せる見込みのないときは、どれだけ損失をしていても、リスク選好的な行動は好まない

ということがわかったということです。

これをブレイクイーブン効果と呼びます。

 

実社会への適用

この効果は実社会においても数多く見られます。

とりわけ、投資の場面では、この効果が如実に現れ、損失をした分、リターンが大きそうな銘柄に大金をつぎ込んだり、少額でも多くの利益が狙える暗号通貨に手を出したりすることが起こります。

 

では、序盤に示した、競馬の選択肢Bと選択肢Cの違いについてですが、結果からいうと、実はこれ選択肢Cの方が多かったんです。

なぜかというと、人は損失を抱えている時、なるべく損失を減らそうと考え、あわよくば損失をゼロに戻そうと画策します。

 

先の競馬の例を見ると、選択肢Bでは、損失を取り戻せる可能性は、選択肢Cよりも圧倒的に高いですが、負けてしまった場合、合計の損失は150万円にも膨れ上がります。

一方、選択肢Cだと、勝てば損失ゼロ、負けても損失は102万円に収まります。

 

そう考えると、期待値はどちらも同じであるが、損失を考えると選択肢Cの方が少ないように感じられます。

 

そうです、このカラクリこそが、我々が一発逆転に期待してしまう。という結果に繋がっているんです。

つまり、一発逆転のカラクリは、損失をゼロにしたい気持ちと、損失を増やしたくないという気持ちが、合致してこそ起こる悲劇だったというわけです。

 

まとめ

プロスペクト理論は、実際に知っていると自分の置かれている状況を客観的に見ることができ、損失というバイアスを外して、冷静に物事を判断できるようになります。

 

そのうえで、実際に我々がするべき行動というのは、

選択肢Aでもなく、選択肢Bでもなく、選択肢Cでもない

別の選択肢D:そもそも競馬をやらない。だったりします。

 

ではでは。

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